2024年3月19日、トランプ政権はジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関する機密文書の大規模公開を実施した。今回公開されたのは約8万ページに及ぶ記録で、これまで機密扱いされていた情報の多くが編集なしで公開されることとなった。
この資料は、1963年11月22日に発生したJFK暗殺事件だけでなく、ロバート・F・ケネディやマーティン・ルーサー・キングJr.の暗殺事件に関連する文書も含んでいる。しかし、事件の真相解明につながる「決定的な証拠」が含まれているかどうかについては、専門家の間で慎重な見方が広がっている。
公開された資料の内容とは?
JFK暗殺に関する資料はこれまでにも段階的に公開されてきた。バイデン政権下では1万3000件の文書が開示されており、今回の公開はその流れを引き継ぐものとなる。ただし、これまで黒塗りされていた部分がどれだけ明らかになったのかが、今後の焦点となるだろう。
1990年代に暗殺関連の機密資料を審査した**「暗殺記録審査委員会(ARRB)」**の元副ディレクターであるトム・サモルク氏によると、これまでの審査過程で事件の核心に迫る記録はほぼ公開済みであり、「新たな爆弾的証拠(スモーキング・ガン)」が見つかる可能性は低いという。
「もし暗殺の核心に迫る記録があったなら、90年代にすでに公開されていたはずだ」とサモルク氏は指摘する。
未公開のCIA・FBI文書には何が含まれているのか?
今回の公開資料とは別に、CIAやFBIには依然として未公開の文書が残されている。FBIは昨年、新たに2,400件の記録を発見しており、これにはリー・ハーヴェイ・オズワルドの行動に関する詳細な情報が含まれている可能性がある。また、CIAが保有する未公開記録には、暗殺事件前後のオズワルドの動向に関する重要な情報が含まれているかもしれない。
ただし、CIAや国防総省が公開を拒んでいる資料には冷戦時代の機密作戦や、現在も生存している可能性のある情報提供者の身元が含まれているとされており、その公開には慎重な判断が求められている。
トランプの狙いと今後の展開
今回の文書公開は、トランプ氏が大統領時代から進めていたものであり、彼は2024年の大統領選に向けても「JFK暗殺関連の全記録を公開する」と公約している。これは選挙戦略の一環とも考えられるが、トランプ氏が再び大統領に就任した場合、さらなる機密解除が行われる可能性は高い。
しかし、政治学者ラリー・サバト氏は「事件の全貌を解明することを期待する人々は失望するだろう」と警告する。彼によれば、今回の公開によって新たな発見はあるかもしれないが、「JFK暗殺の真相が完全に明らかになる」と期待するのは過剰かもしれない。
結論:JFK暗殺の真相は解明されるのか?
今回の文書公開によって、新たな手がかりが得られる可能性はあるが、「オズワルド単独犯説」を覆すような決定的証拠は含まれていない可能性が高い。また、CIAやFBIが未公開のまま保持している文書が存在する以上、暗殺の全貌が完全に明らかになる日はまだ遠いのかもしれない。
それでも、JFK暗殺事件はアメリカ史において最も謎に満ちた出来事の一つであり、その真相を求める声はこれからも続くだろう。今後、研究者や歴史家たちが新たに公開された文書を精査することで、これまで知られていなかった事実が明らかになる可能性もある。
JFK暗殺の謎が完全に解き明かされる日は来るのか――。今回の文書公開は、その長い道のりの中の一歩に過ぎないのかもしれない。
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