トランプ前大統領、税制の抜け道「de minimis」廃止へ
アメリカのトランプ前大統領は、中国および香港から輸入される800ドル以下の商品に対して適用されていた「de minimis(デ・ミニマス)規定」を、2025年5月2日で終了すると発表した。この制度は関税を免除するもので、中国発のショッピングアプリ「Shein」や「Temu」などが爆発的に成長する要因の一つとなっていた。
毎日400万個が免税でアメリカに
この規定により、中国から毎日最大400万個もの小包が税金なしでアメリカに届いていた。2016年に免除対象額が800ドルまで引き上げられて以降、中国企業は超低価格の商品をスピーディーに米国へ輸出。アメリカ国内の小売業は深刻な打撃を受けていた。
関税は最大50ドルに
新しい関税制度では、小包1つあたり30%または25ドルの関税が課され、6月1日以降は最大で1個50ドルに引き上げられる。FedExやUPSなどの配送業者には、詳細な申告と関税の納付義務が課される。さらに、税関はすでに新制度に対応したシステムを整備済みとされている。
小売と消費者への影響
この変更により、SheinやTemuの価格競争力は大きく下がる見込みで、配達期間もこれまでの10日前後から数週間に延びる可能性がある。一方、Forever 21などのアメリカ小売企業は、価格競争の圧力から少し解放されるかもしれない。実際、Forever 21は中国勢との価格競争に敗れ、2025年3月に米国店舗を全閉鎖している。
アメリカの狙いと懸念
トランプ氏は、外国からの安価な商品の氾濫がアメリカの産業・雇用を奪い、不正薬物や偽造品の流入を助長していると強調。民主党議員もこの決断を歓迎している。一方で、安価な商品を頼りにしていた低所得層やスモールビジネスには打撃となる可能性もあり、今後の影響は注視が必要だ。
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